野田内閣の発足に伴い民主党政権で4代目となる国土交通相に、前田武志氏(参院、比例区)が就任した。旧建設省出身の前田国交相は、民主党で住宅・建設にかかわる議員連盟の要職を歴任するなど、建設産業について詳しい。東日本大震災の復旧・復興や建設産業の再生といった課題に、前田国交相はどう向き合っていくのか。8日、専門紙との就任会見で考えを聞いた。
―就任の抱負をお聞かせください。
「3月11日に発生した東日本大震災からの復興と原発問題への対応が最大の課題だ。また、着任と同時に台風12号の災害が起こった。国土の安全を確保し持続可能とすることに大きな責任を感じている」
―大震災や台風災害で被災したインフラの復旧・復興はどのように進めていきますか。
「台風12号への対応では、6日に災害対策本部の団長として現地入りした。大きな崩落が各地で発生し、陸路が寸断されているところも多い。国交省として二次災害が起こらないよう全力を挙げている。当面は、ズタズタになった(道路などの)生命線を速やかに復旧していく」
「東日本大震災は発生から約半年がたち、いよいよ復旧から復興に移る。例えば、三陸縦貫道の整備に当たっては、中核になる都市などの重要地点は早急につないでいく。鉄道や港湾も同様に、拠点の復旧・復興に取り組む」
―公共事業に対しては、どのような考え方を持っていますか。
「これまでは自然を征服できると思い込んでいた。この点は大いに反省しなくてはならない。大震災の教訓を踏まえ、自然災害があっても人命に被害が及ばぬように災害を減じる取り組みが不可欠。低炭素循環型社会という考え方に基づき、東北地方をモデルとして持続可能な国土づくりを進めていく」
―建設産業の役割をどう見ていますか。
「建設の仕事は、いわば『国土のお守り役』。多様な地域の特性を踏まえた国土づくりを担うのは地域の建設業であり、さまざまな知恵と手間を用いて、維持管理の時代に合ったインフラを整備していく役割がある。他方、総合力を備えた(大手)建設業は世界でも大いに活躍してほしい。PPPやPFIなどによって、民間の素晴らしい力を生かしていく必要もある」
―不動産市場の活性化に向けてはどんな取り組みを展開していきますか。
「不動産は、土地を利用していかに建物の付加価値を高めるかが重要だ。建物単体の価値だけではなく、まちの付加価値を高めることにつながらなくてはならない。25年たてば建物が産業廃棄物となるような住宅政策は改めるべきだ」
提供:建通新聞社