国土交通省は、発注者権限の一部を受け持ち工事全体をマネジメントする「第三者技術者」と、施工会社と建設コンサルタントが共同体として競争参加する「コンソーシアム方式」の運用ガイドライン案をまとめ、5日の「国際的な発注・契約方式の活用に関する懇談会」に示した。直轄工事での国際的な発注・契約方式を促進し、建設業の国際展開を後押しすることが狙い。今後、WTO案件の一部で試行工事を実施していく方針だ。
第三者技術者(the Engineer)は、国際コンサルティング・エンジニヤ連盟(FIDIC)の土木工事標準約款に規定されているもので、受発注者間でのマネジメント業務を担う。ガイドライン案では、受発注者以外に第三者技術者を位置付けるとともに、三者間での手続きを明確化した。
それによると、これまで発注者が担ってきた監督業務や検査業務(完了検査、既済部分検査)は、第三者技術者が実施する。工種の増減や内容の変更、単価変更など請負代金や工期の変更が必要ない設計変更は、第三者が独自の判断で実施することが可能となる。
契約図書のうち工程表については「受発注者を拘束するものではない」としつつ、「工期変更に関する契約変更請求を行う場合の根拠資料の一部」と位置付ける。
第三者技術者の選定に当たっては、プロポーザル方式で参加企業や技術者の経験・能力を評価。特定段階では、プロジェクトに関係する技術力、プロジェクト監理に必要な技術などをヒアリングによって確認する。業務実施体制は、管理技術者と監督業務担当技術者は専任・常駐とするが、検査担当技術者と特殊な工種・工法に対応する技術者は常駐を求めない。
FIDIC契約約款が規定する紛争委員会の活用は、試行工事の結果などを踏まえ方向性を検討していく。
他方、コンソーシアム方式は、建設コンサルタントと施工会社が共同体を形成し、事業を進める仕組み。対象は設計施工一括発注方式か詳細設計付工事発注方式で発注する土木関係工事を想定している。コンサルタント会社は、施工会社から業務を受託する形で共同体に参加する。
コンソーシアムによる参加の場合には、建設会社に対する参加要件のほかに、コンサルタント会社にも参加要件を課す。設計に関する技術者として、管理技術者・設計主任技術者・照査技術者の配置を求める。
総合評価の技術提案では、工事に加え設計に関する技術提案も求め評価する。成績評定も、建設会社に対する工事成績とは別に、建設コンサルタントに対する業務評定を実施する。また、コンソーシアムを構成する建設コンサルタントには、見積書の写しを発注者に提出させ、その見積額による契約・支払いを建設会社に求める。適正な理由がなく履行されない場合は、建設会社の工事成績を減点する。
提供:建通新聞社