国土交通省と農林水産省は、東日本大震災の津波被害を踏まえ、海岸堤防の計画・設計に必要な「設計津波の水位」の設定方法を決めた。海岸堤防の高さ(天端高)を決める際、過去に発生した津波の事例を整理し「数十年から百十数年に一度」の頻度で発生する津波の高さを地域ごとに想定し、この高さを基準に海岸管理者が堤防の設計を行う。復興計画の前提となる海岸堤防の高さの決定の基準を示し、被災市町村の復興への動きを後押しする。
設計津波の水位の設定方法は、「中央防災会議専門調査会」と「海岸における津波対策検討委員会」が6月にそれぞれまとめた中間報告をベースに決定し、8日付で海岸管理部局に通知した。
設計津波の水位は、一連のまとまりのある海岸線を分割した「地域海岸」ごとに設定する。痕跡高調査や歴史記録・文献などを活用して過去に発生した津波の高さを整理し、一定頻度(数十年から百数十年に一度程度)で発生が想定される対象津波群を選定する。
対象津波群の津波を対象に隣接する海岸管理者間で調整し、設計津波の水位を海岸管理者が設定する。また、海岸に流入する河川とも整合がとれるよう、河川管理者と調整することを求めている。
中央防災会議の専門調査会がまとめた中間報告では、東日本大震災の津波被害を受け「海岸保全施設などに過度に依存した防災対策には限界があった」とし、最大クラスの津波に対しては、土地利用の見直しや防災施設の整備などを組み合わせた対策を立案するよう、政府に求めている。
提供:建通新聞社