文部科学省は、2011年度を初年度とする国立大学等施設の第3次施設整備5カ年計画について、東日本大震災の被害状況を踏まえた内容に見直す。震災で大きな被害がでた非構造部材の耐震化、大学付属病院における救命救急機能を維持するための基幹設備の強化、全国的な電力需給の逼迫(ひっぱく)に対する省資源・省エネの推進などの方針を盛り込む見通しだ。同省の有識者会議で再検討し、8月に計画をまとめる。 国立大学等施設の第3次計画については「今後の国立大学等施設の整備充実に関する調査研究協力者会議」(木村孟東京工業大学名誉教授)がことし2月に最終報告をまとめたが、震災の発生を受け、3月末を予定していた計画の策定は延期されている。
文科省では、震災被害を踏まえた形へと計画を見直す方針を決め、6日に開いた同会議に見直しの方向性を提示した。それによると、今回の震災で大きな被害がでた非構造部材(内装材、外壁など)の耐震化に加え、実験研究設備を災害から守る方策についても検討。 老朽化したライフライン設備(ガス、給排水管、電気設備など)にも損傷が出たことを踏まえ、既存設備の改善や災害時のエネルギー確保なども考える。災害時の救急医療機能を確保するため、大学付属病院のライフライン設備についても強化策を検討する。
また、福島第一原子力発電所事故で、全国的に電力需給が逼迫したことを踏まえ、省資源・省エネの方策についても見直す考えでいる。
文科省は、次回27日の同会議でまとめる最終報告を参考に、8月には第3次計画を策定するとしている。
今回の震災では、国立大学法人・大学共同利用機関法人の64校、国立高専の12校で被害が報告されている(6月22日時点)。被害額は537億円に上り、既に第一次補正予算で84億円の復旧費が計上されている。
提供:建通新聞社