政府は28日の閣議で、官公需法に基づく2011年度の中小企業者向け契約目標を56・2%とする方針を決定した。契約目標額は前年度と比べて5650億円多い3兆7915億円で、契約目標は過去最高となった前年度の数値を据置きした。東日本大震災の被災地の中小企業に対しては、地域精通度の適切な評価、適正な納期・工期設定、迅速な支払いなどで配慮することを盛り込んでいる。
中小企業の受注機会確保を目的に官公需法で定める契約目標は、中小企業庁が主体になって年間の契約方針を策定することにしている。対象は国の府省、独立行政法人、国立大学法人などで、地方自治体にも努力義務がある。
11年度の目標は、過去最高だった前年度の数値と同率の56・2%に設定。東日本大震災の影響や前年度実績が下がったことなどを踏まえ、前年度の目標数値を据置いた。目標の内訳は「物件」が62・3%(前年度目標63・6%)、「工事」が56・9%(同57・3%)、「役務」が50・2%(同48・6%)。
東日本大震災に伴う被災地の中小企業に対しては、適正な納期・工期の設定、前払金・中間前払金の速やかな支払いなどで配慮する。また、復旧・復興工事の発注に地域の建設業を活用できるよう、適切な地域要件の設定や地域精通度の評価を行うことも明示した。
震災の影響が全国の中小企業にも及んでいる中で、例年通り、分離・分割発注や同一資格等級区分内での競争などの措置を講じる方針も盛り込んでいる。
地方自治体とともに、民営化で官公需法の対象外となった特殊会社に対しても、国に準じた努力義務を要請する。11年度は▽関西国際空港▽東京地下鉄▽首都高速道路会社▽阪神高速道路会社▽本州四国連絡高速道路会社―の5社を新たに加え、14社に要請することになっている。
主な省庁・独立行政法人の工事の契約目標は次の通り(@予算額A中小企業向け契約目標額B契約目標率、単位・億円) ▽国土交通省―@1兆4059A8536B60・7%▽防衛省―@1461A768B52・6%▽農林水産省―@984A730B74・2%▽内閣・内閣府―@447A260B58・2%▽財務省―@165A134B81・2%▽厚生労働省―@158A110B69・5%▽水資源機構―@274億A174億B63・3%B▽UR都市機構―@2663億A1036億B38・9%
提供:建通新聞社