国土交通省の「技術者制度検討会」(座長・小澤一雅東京大学大学院教授)は28日、建設業法に基づく技術者制度の方向性を示す最終報告をまとめた。建設産業戦略会議の提言を踏まえ、技術者の本人性や保有資格、工事実績などを確認する「技術者データベース」の整備を提起し、民間工事を含めて専任を確認できる仕組みの構築をこの中で求めた。資格の虚偽表示などの不正防止対策として、技術者個人に対する適切なペナルティーも設けるべきとした。
この検討会は、建設業を取り巻く状況が大きく変動する中で、優秀な技術者の確保・育成・評価を推進するとともに、不良不適格業者の排除によって優れた建設業が発展する仕組みを検討することが狙い。検討課題として▽監理技術者資格者証の交付に代わる方策▽監理技術者講習に代わる方策▽直接的雇用制度の点検の必要性▽新たな市場への対応の必要性―などを掲げた。
「技術者データベース」は、監理技術者資格者証の交付に代わるもので、必要な資格などを持ち、雇用関係が明確な技術者本人が適正に配置されているかどうかを確認するために整備する。データベースは定期的な更新制とし、更新の要件には▽ほかの技術検定種目などの国家取得の取得▽更新検定の合格(例えば、同種の技術検定の学科試験)▽継続教育(CPD)による必修分野に関する教育―といった複数の選択肢を用意する。
技術者を適正に配置する観点から、当面は一定規模以上の建設工事に関与する監理技術者を対象とするが、段階的に主任技術者まで対象を拡充することも視野に入れている。
業種区分(28業種)をめぐっては、建設業界から意見を聴取しながら▽該当する工事に必要な専門性▽業種別の許可業者数、完成工事量▽関連する法令の新設など社会的ニーズの発生状況▽関連業界の実態―といった視点から総合的に検討を進めるべきとした。
継続的検討事項としては、▽監理技術者、主任技術者を補佐する技術者(補助技術者)の明確化▽技術者と企業の雇用関係の在り方―を取り上げた。
提供:建通新聞社