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2011/06/24

建設産業の再生・発展へ 建設産業戦略会議の最終報告を大畠国交相に提出

 国土交通省の「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大学教授)は23日、今後の建設産業施策の方向性を示す「建設産業の再生と発展のための方策2011」をまとめ、大畠章宏国交相に提出した。地域建設業の維持・再生方策として、災害対応や除雪、インフラの維持管理などを「地域維持事業」と位置付け、地域建設業で結成する新たな建設共同企業体(JV)に発注することなどを提起。保険未加入企業の排除に向けては、許可更新時や経営事項審査時の社会保険への加入状況確認などを段階的に徹底する考えだ。技術者データベースの整備や業種区分の点検なども進めていくべきとした。
 建設産業戦略会議は、建設産業全体の在り方を探るため、2010年12月に発足した。最終報告では▽地域維持型契約方式の導入▽保険未加入企業の排除▽重層下請構造の是正と施工力のある企業の育成▽技術者データベースの整備と業種区分の点検▽入札契約制度改革の推進▽海外展開支援策の強化▽過剰供給構造の是正と不良不適格業者の排除▽新たな事業分野への展開▽東日本大震災を受けた特別の対応―といった項目ごとに、実施すべき対策を示した。
 地域維持型契約方式の導入は、災害対応や除雪、インフラの維持管理など地域の維持に不可欠な事業の担い手を確保することが狙い。具体的には複数の工種・工区や複数年の包括契約によって、地域維持事業を発注する方式や、地域建設業が経常的に結成する「地域維持型JV」が地域維持事業を共同受注する方式などを挙げた。
 保険未加入企業の排除では、建設業許可更新時や経営事項審査時、立入検査時に保険加入状況のチェックを強化する。また、元請けの下請指導責任・下請指導内容を建設業法の関係政省令で明確化する。
 ただし、専門工事業の業態や職種によって、保険加入の現状にギャップがあることから、排除方策の全体像を示した上で1年程度の周知・啓発期間を設ける。その後、大規模工事から段階的にチェックを徹底していき、順次範囲を拡大する。
 技術者データベースは、技術者制度見直しの一環として、技術者の適正な現場配置を確保するために構築。民間工事の専任確認も可能とする。当面の登録対象は、一定規模以上の建設工事に配置される監理技術者に限定しつつ、段階的に主任技術者にも広げる。技能者のデータベース化も進めていくべきとした。業種区分の見直しは社会的ニーズなどの動向を総合的に分析した上で、建設業界の意見も聴取しながら引き続き検討することになった。
 入札契約制度改革の推進に向けては、地方公共団体でのダンピング対策強化、地域企業の適切な活用、段階選抜方式などを明確化する。受発注者間の建設業法順守ガイドラインの策定も求めた。
 過剰供給構造を是正する観点からは、保険未加入企業や技術者の不適正配置企業、暴力団関係企業などを排除する取り組みとともに、企業再編の環境整備を進めていく。こうした取り組みを実施した上で、なお過剰供給構造の是正が必要な場合には、許可要件や公共市場への参入要件見直しを検討していく必要があるとした。
 最終報告では、東日本大震災を踏まえた対応にも触れた。復旧・復興関係の建設投資が増大した場合に、一括下請負やいわゆる上請などの問題が生じないよう、地域要件などの適切な運用により、近隣や地域外の建設企業を活用することなどが必要とした。

提供:建通新聞社