国土交通省は、総価の内訳を受発注者が協議・合意する「総価契約単価合意方式」のアンケート結果をまとめた。それによると、受注者の約8割が、予定した単価でおおむね合意できており、個別合意方式では約7割がメリットを実感していた。一方、受発注者から改善が必要とされた点は「協議や関係資料の作成に時間や手間を要する」「変更契約での単価が分かりにくい」などだった。
総価契約単価合意方式は、難航しがちな設計変更協議を円滑化し、生産性を高めることを目的に、10年度から直轄の土木工事に全面適用した。運用方式には、単価などを個別に合意する「個別合意方式」と、ほぼ従来と同様の「包括合意方式」の二つがある。
アンケート調査は合意種別・工事規模ごとに抽出した計408工事を対象として、3月から4月にかけて実施。ただし、東日本大震災の影響で東北地方整備局分を除外した。
この中で、個別合意方式に対する認知度を調べたところ、受注者の54%が「知っていた」と答え、「名前だけ聞いたことがある」が38%、「知らなかった」が8%だった。また、単価合意の回数は、1回が47%、2回が43%、3回以上が10%。協議に要した日数は7日以下が53%、7日超14日以下36%、14日超21日以下6%などと続いた。
単価契約の容易さについては、受注者は「スムーズに行えた」が56%、「やや手間が掛かった」が39%、「かなり手間が掛かった」が5%。これに対し、発注者は「スムーズに行えた」が44%、「やや手間が掛かった」が45%、「かなり手間が掛かった」が11%となり、受注者よりも負担が大きい実態が浮き彫りとなった。
個別合意方式のメリットについては、受注者の73%が「感じた」と回答。その理由としては「落札率による一律圧縮ではなく、より実態に合った変更計画に近づいた」「変更金額などが把握しやすかった」などが多かった。これに対し、発注者でメリットを感じた割合は31%にとどまった。
総価契約単価合意方式全般の課題を尋ねたところ、受注者からは「単価の妥当性の説明が難しい」「新規工種を種別(レベル3)で考えてほしい」などの指摘が多く、発注者は「受注者単価の妥当性検証が難しい」「協議・関係資料の作成に時間・手間を要する」との回答が目立った。
提供:建通新聞社