高い施工能力とマネジメント能力を兼ね備えた「基幹技能者」を、直轄工事の総合評価方式などで評価する動きが広がっている。国土交通省のまとめによると、直轄工事では北陸地方整備局が2011年5月から試行を始め、北海道から沖縄まで全国で活用体制が整った。その一方で、都道府県での活用は、長崎県や東京都などごく一部にとどまっている。
登録基幹技能者制度は専門工事の職種ごとにいわゆる「スーパー職長」を認定する仕組み。認定に当たっては、一級技能士や一級施工管理技士などの国家資格と10年以上の実務経験(うち2年以上の職長経験)を持つ技能者が、登録基幹技能者講習を受ける必要がある。08年4月からは登録基幹技能者に経営事項審査で3点を加点する措置が設けられた。
国交省の総合評価方式での活用状況を見ると、北海道開発局がほかに先駆け05年度から建築の標準型で本格運用に着手し、最大6点の加点措置を講じた。次いで中部地整が08年度から土木の標準型で試行を開始。10年度には関東・近畿・九州・東北・中国、11年度からは四国・沖縄総合事務局が運用を始めた。いずれも総合評価方式の技術力評価で、主に登録基幹技能者や基幹技能者の配置に加点するものだ。
地方公共団体では、長崎県が09年度に土木・建築の簡易型で基幹技能者の配置に0・1〜0・2点を加点。また、東京都は10年12月、土木工事1件で登録基幹技能者の現場常駐義務化を試行した。UR都市機構や首都高速道路でも活用を進めている。
基幹技能者制度をめぐっては、専門工事業団体などで構成する「基幹技能者制度推進協議会」が、登録基幹技能者の有効活用・適正評価を求める要望活動を展開中だ。しかし、要望先の地方公共団体からは、「国やほかの地方自治体の状況を見て判断する」との回答が多いという。国交省総合政策局建設市場整備課は「直轄工事で基幹技能者の活用が定着してくれば、地方公共団体への普及も進むのではないか」と期待している。
提供:建通新聞社