国土交通省の「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大学教授)は10日の会合で、建設産業政策の方向性を明確化する最終報告の取りまとめに向けた議論に区切りを付けた。地域建設業の再生に向けた取り組みとして、地域維持型契約方式の導入や地方自治体でのダンピング対策の強化などを想定。保険未加入企業の排除や重層下請構造の是正などの考え方も盛り込んだ。6月下旬に予定する次回会合で最終報告を固め、大畠章宏国交相に提出する。
戦略会議は、地域建設業の再生方策を中心として、建設産業全体の方向性を探るため、2010年12月に発足した。1月にまとめた基本方針では、▽地域社会の維持に不可欠な建設企業の再生▽建設生産を支える技能・技術の承継の確保▽大手・中堅企業による技術力・事業企画力の発揮▽過剰供給構造の是正―といった観点から、今後の検討事項を示した。
非公開で行われた10日の会合では、事務局が示した最終報告案「建設産業の再生と発展のための方策」について、各委員が意見を交わした。この中では、ある委員は入札契約制度の在り方について「現在の総価請負方式では対応しきれなくなっている部分が多い。建設産業の国際化などを見据えながら多様な方式の導入を進めるべきだ」と強調。また、保険未加入企業の排除をめぐっては「保険料を負担すべき主体が発注者であることをしっかりと明記すべき」と指摘した。
提供:建通新聞社