トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2011/06/09

6月末に緊急提言 震災踏まえた学校の耐震・津波対策 文科省

 文部科学省の「東日本大震災の被害を踏まえた学校施設の整備に関する検討会」(座長・長澤悟東洋大学教授)の初会合が8日に開かれ、6月末までに提言をまとめることが決まった。学校施設の震災被害を踏まえた耐震対策や津波対策、応急避難場所としての利用に耐えられる施設機能、電力不足に対応した省エネ対策などを議論する。辰野裕一文教施設企画部長は、検討会の提言を「第二次補正予算や2012年度当初予算に反映させたい」と述べた。
 東日本大震災の公立学校における建物被害は6250校に及んだ。このうち復旧工事が必要なものは764校。さらに建て替えなどが必要になる、被害が大きかったものが202校あった。
 建物倒壊による死亡報告はなかったが、天井材・照明器具など非構造部材の落下などの被害が多く発生。検討会では耐震対策について、構造体の耐震化を引き続き推進するとしながらも、非構造部材の落下防止、耐震点検・対策工事の在り方などを論点に議論する。
 津波などによる死者が596人に上ったことを踏まえ、津波対策についても検討する。高台への移転など津波被害を受けないための立地計画、高層化などによる避難場所の確保などの具体策を想定している。
 また、今回の震災で避難所に利用された学校がピーク時(3月17日時点)に622校に上ったことを踏まえ、学校施設の防災機能強化についても考える。被災地の自治体からは▽非常用電源▽トイレ機能▽備蓄倉庫▽通信設備―などの確保を求める声が挙がっているという。
 今後の電力不足を見据えた省エネ対策についても提言する。照明・空調設備の高効率化、自然光などの活用、再生可能エネルギーの導入などのテーマで議論を進める。
 今後2回の会合を開いて6月末に提言をまとめる。提言の内容を二次補正に盛り込み、被災地の本格復旧・復興に反映させる。被災地外の学校施設の安全性向上にも利用する。

提供:建通新聞社