環境省は、東日本大震災で発生したがれき処理が遅れている問題で、関係する県などに対して、国庫補助事業の積算方法などの市町村への周知徹底を要請した。同省は5月6日に処理コストの積算方法、同月31日に国庫補助の申請方法を通知しているが、実際にがれき処理を担う市町村にその内容が行き届いていないなどといった声が挙がっていた。6日付で同じ内容の通知を都道府県に再度送付した。
同省では、東日本大震災のがれき処理に関し、収集費、運搬費、中間処理費、最終処分費などの区分で国庫補助対象経費の算出式を明示。建設機械、コンクリート塊、最終処分などの単価は、建設物価(建設物価調査会)や積算資料(経済調査会)の公表資料を参考にするほか、単価がない場合は、3者以上の見積もりを基本に単価を設定するなどとしていた。
過去の震災時の実績値も参考として例示。処理単価は、阪神淡路大震災が1d当たり約2・2万円、新潟県中越地震が同約3・3万円、岩手・宮城内陸地震が約1・5万円となっている。
ただ、被災3県におけるがれきの仮置場への搬入状況(2日時点)は、岩手県で31%、宮城県で15%、福島県で16%といずれも遅れが目立つ。国庫補助の積算方法や申請手続きなどが複雑で、実際にがれき処理を発注する市町村・県に周知されていないなどの指摘もある。
政府は、がれき処理の国直轄化なども検討したが、直轄化には法制度の変更などでさらに時間が必要となるため、同省としては現行の補助事業の枠組みを維持する方針。 このため、国庫補助の積算方法などを改めて自治体に示すとともに、廃棄物処理業界にも内容を説明する。また、地元業者だけで膨大な処理量をカバーできない市町村に対しては県外業者の活用も要請するなど、がれき処理のスピードアップを図る意向だ。
提供:建通新聞社