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2011/06/06

港湾の津波対策 防災、減災の二段構えで対応 国交省

 国土交通省は3日の交通政策審議会港湾分科会防災部会で、港湾での総合的な津波対策の在り方に関する中間報告の素案を示した。津波外力と防護水準をめぐっては、施設の供用期間中に発生する可能性が高い津波から人命や財産を守る「防災」と、想定される最大規模の津波から人命を守り、大きな二次災害を防止する「減災」という二段構えで対策を講じる考え。津波の第二波以降にも最低限の耐力を保持する、ねばり強い構造物の必要性なども指摘した。
 東日本大震災で太平洋沿岸を襲った津波は、防波堤や防潮堤などで想定していた外力を大きく上回った。こうした状況を踏まえ国交省は、津波による防災施設の被災要因や防護効果を検証し、防護水準や防護方式を再点検した上で、被災した港湾の復旧方針を立案するとともに、今後の防災対策を全国的な見地から検討することにした。
 素案では、「発生頻度の少ない巨大津波まで構造物で守りきることは技術的に経済的にも不可能」との認識から、大きさや発生頻度に応じて防災・減災の目標を明確化する必要があると指摘した。
 施設の供用期間中に発生する可能性が強い津波を対象とした「レベル1」の防護目標としては、▽人命を守る▽財産を守る▽経済活動を継続させる―を満足する「防災」を目指すべきとした。他方、今回の大津波のような最大規模の津波は「レベル2」と位置付け、▽人命を守る▽経済的損失を軽減する▽大きな二次災害を防止する▽施設を早期に復旧させる―といった「減災」に力点を置く。
 港湾の防護ラインは、単線防護から多重防護に転換する方針。まず、現行の防護ラインについて、連続性を確保した上で、レベル2の津波が襲った場合に備え、二線堤などを整備する。また、レベル2への対策として、避難タワーや避難ビルなどの施設整備が不可欠とした。

提供:建通新聞社