トップページお知らせ >中央ニュース

お知らせ

中央ニュース

2011/04/21

東日本大震災 不動産市場に与える影響「深刻」が9割 ニッセイ基礎研究所

 東日本大震災が不動産市場に与える影響について、不動産関係者の9割以上が「深刻」に受け止めていることが、ニッセイ基礎研究所の調べで分かった。今後、顧客や利用者のニーズが弱まることが懸念される不動産のタイプは、複数回答で「分譲マンション」が52・1%と半数を超え、最も高い割合を占めた。大規模災害リスクへの対応策としては、「建築・都市インフラの防災性能の大幅な強化」を求める声が多かった。
 「東日本大震災と不動産市場に関する緊急アンケート」は4月11日から18日にかけて、不動産分野の実務家・専門家など計1051人を対象に実施し、261人から回答を得た(回収率24・8%)。
 それによると、震災が不動産市場に与える影響の大きさをめぐっては、「非常に深刻(広域的で長期的)」が28・4%、「深刻(広域的だが短期的)」が26・8%、「やや深刻(地域限定的だが長期的)」が34・9%。これに対し、「それほど深刻ではない(地域限定的で短期的)」は8%にとどまった。同研究所によると、「放射能汚染問題や電力不足の長期化懸念などから、東京圏も含めた不動産市場全体にある程度の影響が避けられないとの見方が多い」という。
 震災が不動産市場に与えるマイナスの影響を具体的に尋ねたところ、複数回答で「震災リスクや原発リスクなどから、海外の投資家が日本の不動産を忌避する動き」が58・6%と最も多く、「経済成長率の低下に伴う、不動産需要の低迷」51%、「不動産の顧客や利用者、投資家の震災リスクやリスクの高い地域や不動産を忌避する動き」が43・7%などとなった。
 今後、顧客や利用者の選別が厳しくなったり、ニーズが弱まると懸念される不動産のタイプとしては、「分譲マンション」52・1%、「オフィスビル」48・7%、「ホテル」42・1%、「商業施設」38・7%、「レジャー施設」34・5%、「戸建住宅」29・9%などの順。一方、「賃貸アパート・マンション」は6・9%だった。
 今後、不動産市場で重視されるリスクについては、「東京一極集中リスク」が最多の56・3%で、「震災・津波リスク」50・6%、「電力不足・停電リスク」37・5%、「原発・放射能汚染リスク」28・4%などが続いた。大規模災害リスクへの対応策としては、「建築・都市インフラの防災性能の大幅な強化」が58・2%で最も多かった。

提供:建通新聞社