東日本大震災の復旧・復興を円滑化するため関係省庁は、被災地域の公共事業で前金払の割合を引き上げることを決めた。工事の前金払は請負金額の「10分の4」を「10分の5」に見直すとともに、中間前金払の対象を「請負金額1000万円以上かつ工期150日以上」から「請負金額300万円以上」へと大幅に広げる。調査、測量、設計といった業務の前金払も「10分の3」を「10分の4」に割合を高める。国土交通省の直轄工事では4月22日以後に契約する工事から適用する。
前金払制度とは、資材の購入や労働者の確保、建設工事の着工資金を確保するため、工事代金の一定割合を発注者が事前に支払う仕組み。今回は、被災地域での公共工事を適正・円滑に施工することが必要との判断から、国交省など関係省庁が財務省との協議により前金払などを引き上げる特例措置を設けることで合意した。
特例措置の対象地域は、東日本大震災で災害救助法が適用された市町村の区域(東京都の区域を除く)。岩手県・宮城県・福島県の全市町村と、青森県・茨城県・栃木県・千葉県・長野県・新潟県の一部市町村が該当する。
国発注工事については、請負金額の「10分の4」だった前金払の割合を「10分の5」に引き上げる。また、中間前金払の対象となる工事を「請負金額1000万円以上かつ工期150日以上」から「請負金額300万円以上」に拡大する。
調査・測量・設計といった業務などの前金払についても「10分の3」から「10分4」に改める。
4月22日以後、新たに契約を締結する工事に適用する。ただし、東日本大震災の復旧などで既に契約された工事・業務もあるため、震災発生翌日の3月12日以後新たに契約し、4月22日以後に契約変更したものも特例の対象とする。
提供:建通新聞社