国土交通省は、受発注者間の設計変更協議を円滑化するため、主要な材料の積算数量を契約の一部に位置付ける「契約数量」の試行を大幅に拡大する。これまでは各地方整備局で新築1件以上を試行してきたが、11年度はPFI事業を除く1億円以上の新営工事(建築工事の鉄筋・コンクリート・鉄骨)がすべて対象となる。試行の効果などを検証した上で、対象をさらに拡大するかどうかを含め、12年度以降の対応方針を決める方針だ。
契約数量の対象材料は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造などの躯体を構成する鋼材類やコンクリート類。特記仕様書に契約数量の試行対象工事である旨を記載するとともに、工事数量総括表を添付し、対象材料の名称や規格・仕様、契約上の取り扱いなどを明記する。
国交省は従来、積算の透明性や客観性、妥当性を確保するため、営繕工事の入札時に工事材料の数量などを記載した数量書を公開してきた。ただ、これはあくまで参考資料としての位置付けで、そこに記載された積算数量は契約事項としては取り扱われていなかった。
このため、09年度に契約数量を試行導入し、施工段階で設計変更などが生じた場合、受注者が契約数量を前提とした適切な対価の支払いを発注者に求めやすくなる仕組みを整えた。国交省がこうした取り組みを率先して実施することで、地方公共団体への波及も期待される。
試行実績は09〜10年度の2年間で計32件だった。今回、PFI事業を除く1億円以上の新営工事をすべて対象に加えることで、11年度の実績は大幅な増加が見込まれている。
提供:建通新聞社