国土交通省の「高速道路のあり方検討有識者委員会」(座長・寺島実郎日本総合研究所理事長)は7日に初会合を開き、高速道路の無料化実験や料金割引制度、整備手法などの方向性について検討を始めた。大畠章宏国交相は冒頭、「東日本大震災では、命をつなぐ物資の輸送に高速道路が大きな役割を果たした。100年後、200年後につながる高速道路の在るべき姿を議論してほしい」と訴えた。また、池口修次副国交相は会合後の会見で「大震災を想定した高速道路ネットワーク整備が議論の大きな焦点となる」との考え方を示した。
高速道路をめぐっては、民主党内で料金割引の上限制や無料化社会実験を中止し、その財源を東日本大震災の復旧に充てる案が浮上している。また、大震災の発生後、高速道路が早期復旧したことで、人命救助や物資輸送などに役立ったという事実がある。
こうした状況の中で国交省は、高速道路の料金割引や無料化社会実験を客観的に評価するとともに、今後の高速道路整備の在り方を有識者らに幅広く検討してもらうことにした。秋をめどに最終報告をまとめる方針。震災対応に関係する項目はそれ以前に中間報告することも視野に入れている。
初会合は非公開で開催されたが、会合後に会見した池口副国交相によると、▽民主党の(高速道路原則無料化などの)政策に縛られずに議論する▽日本の高速道路の在るべき姿について、果たすべき役割や負担の公平性を考えながら議論する―ことなどが確認されたという。
提供:建通新聞社