帝国データバンクの景気動向調査(3月)によると、建設業の景気動向指数は前月比1・5ポイント減の26・6となった。東日本大震災の影響で国内景気は内需の停滞が顕著で、全業種では同3・8ポイント減の31・6に急落した。同社では、インフラなどの復興需要が見込まれるものの、「原発事故のほか、円高や原材料高、政局など懸念材料は多く、不透明感が漂っている」としている。
建設業の景気動向指数(0〜100、50が判断の分かれ目)は、10年10月以降改善に向かっていたが、震災の影響で工事が中止・延期されたり、震災復旧がまだ本格化していない状況が景況感に悪影響を与え、5カ月振りに悪化した。建設業以外の9業種でも、内需停滞に加えて海外で日本の一次産品を敬遠する動きなどが影響し、前月比3〜5ポイント減と、大きく下押しされた。
地域別の景気動向指数は、被災した東北24(前月比7・7ポイント減)をはじめ、北関東28・7(同5・7ポイント減)、南関東31・5(5・6ポイント減)がいずれも過去最大の悪化幅を記録。震災の影響が少なかった東海31・9(同3・8ポイント減)や近畿34・2(同2・1ポイント減)の悪化は小幅にとどまり、国内景気を下支えした。
調査では、建設業の景況感の先行きについて、復旧工事の増加で需要が増えることが考えられるとしているものの「震災で国の補助事業が激減する」「被災地への復興支援が最優先事項となるため、その他の地方へのモノ・かねの流れが絞られ、地方景気がますます冷え込む」「資材不足で便乗値上げが起き、仕事がないのに材料資材が値上がりする懸念がある」などの不安材料を挙げている。
提供:建通新聞社