東日本大震災の復旧・復興事業費をねん出するため政府が2011年度予算の公共事業費と施設整備費の執行の一部留保を決めたことをめぐって、関係省庁が対応をとり始めた。1日の閣議での財務大臣の要請を受け、国土交通省と農林水産省は同日付で直轄事業・補助事業のいずれについても公共事業費のうち原則5%分を留保することを決定。学校の耐震化予算などを抱える文部科学省も、政府全体の対応を見ながら検討するとしている。
政府の11年度予算は3月29日に成立。野田佳彦財務大臣は1日の閣議で、東日本大震災に関係する費用を除き、公共事業費と施設整備費の5%をめどに執行をいったん留保し、必要な事業を見極めながら被災地への重点化を図るよう関係閣僚に求めた。
国交省はこれに伴い、直轄事業を予算執行段階で原則5%留保。補助事業についても、社会資本整備総合交付金などを原則として5%留保して配分することを決めた。農業農村整備や水産基盤整備などの公共事業費に5194億円を確保する農水省でも、国交省と同様の対応をとる。
文科省は、公立学校施設の耐震化に805億円、国立大学法人等施設の整備に437億円、私立学校施設・設備整備に157億円などを計上しているが、今のところ「政府全体の対応を見ながら判断する」(大臣官房会計課)と述べるにとどめている。
今後、財務省が正式に各省庁に一部留保を指示する際、除外経費を設ける可能性もあるという。厚生労働省では、自治体などに対する水道事業の予算内示を例年通り行っているが、財務省の指示を待って対応することもあり得るとしている。
提供:建通新聞社