2011年度予算の成立を受けて国土交通省は、所管事業の執行に当たり、東日本大震災による被災地域の早期復旧・復興に十分配慮するとともに、厳しい雇用情勢やデフレ状況に対応するため、速やかな執行を求める事務次官通達を各地方整備局や関係部局などに送った。入札・契約に際しては、3月29日に示した低入札価格調査基準価格の基準改正を漏れなく措置するよう要請。東日本大震災の被災地域では、復旧・復興事業の円滑化や地域経済への配慮が必要として、建設企業の資金繰り対策を特に強化することなども求めた。
11年度の執行通達は、公共事業などの執行方針として、▽東日本大震災による被災地域の一日も早い復旧・復興に十分配慮するとともに、現下の厳しい雇用情勢やデフレ状況に対応し、景気持ち直しの動きを確かなものとするため、速やかな執行を図る▽予算執行に対し国民の厳しい目が向けられている中、節減合理化などの効率的な執行に努める▽地籍調査が公共事業の用地取得に要する労力の軽減、期間の短縮、災害復旧の円滑化などの効果を発揮するものであることに留意し、地籍調査事業との連携に努める―ことなどを盛り込んだ。
入札・契約業務をめぐっては、直轄工事の低入札価格調査基準価格で、現場管理費の算定割合が70%から80%へと引き上げられたことに留意するよう要請。また、▽競争性・透明性の向上のための入札方式の改善などの措置を適切に実施する▽ダンピング対策を徹底し適正価格による契約を推進する▽入札参加者に対し、入札の公正・公平を害する恐れのある行為を行わないよう厳重に注意する―ことなども求めた。
建設産業の健全な発展に向けては、中間前払金制度の活用などによる工事代金の早期支払い、地域建設業経営強化融資制度などに関する債権譲渡事務の迅速化、建設業者の合併などに対する支援措置の充実などに努めることとした。特に東日本大震災の被災地域で建設企業の資金繰り対策を強化することを求めた。
さらに、中小建設業者の受注機会を確保するため、上位等級工事への参入拡大や、競争性が確保される範囲内で可能な限りの分離・分割発注の実施、経常JVの適正な活用などが必要とした。
東日本大震の被災地域での所管事業の執行に当たり、検討すべき事項が生じた場合には、関係部局と協議する必要性も指摘した。
提供:建通新聞社