民主党の国土交通部門会議(田村謙治座長)は30日、東日本大震災の復旧・復興に向けた新たな法制度の在り方に関する提言を大筋でまとめた。この中では、土地区画整理事業制度やマンション再建制度、総合的な市街地復興制度、インフラ再建でのPFI/PPPの活用などで、抜本的な新制度を創設する必要性を指摘。復旧・復興に当たっての国庫補助を充実する措置や、被災地域の失業者を公共事業で雇用する措置なども求めた。4月1日に民主党の「東北関東大震災震災復旧・復興特別立法チーム」に提出する。
提言は、新たな法案の方向性を▽被災した地方公共団体による財政負担の在り方▽現行制度では対象外とされているものへの対応▽抜本的な新制度の創設▽その他―に整理した。
地方公共団体の財政負担の在り方をめぐっては、国庫補助率のさらなる引き上げを目的とした特別立法を検討しつつ、「例えば地方交付税(特別交付金)による補てんなどによって実質的に地方負担をゼロとするなど、現行法の弾力な運用による当面の解決も考えられる」とした。国が使途を定めない基金の創設や一括交付金の災害対策への拡充も検討事項に盛り込んだ。
また、都市計画法に定める都市施設や改良住宅、公社所有の埠頭(ふとう)、旅客ターミナルビルなどは国庫補助や激甚災害特別措置法によるかさ上げの対象外となっているため、特別の国庫補助を定めた立法措置の必要性を指摘。さらに、防潮堤など一定に施設については、国庫補助で被災前よりも機能を高められるような措置を求めた。
抜本的な新制度の創設に当たっては、所管官庁をまたぐ電力、ガス、水道、通信、道路などのライフラインを効率的に復旧するため、総合的な復旧・復興計画と推進体制を担保する法制が必要とした。また、阪神・淡路大震災を契機に制定された被災市街地復興特別措置法について、「都市部の被害を主に想定しており、点在する市町村や集落が被災した今回の震災にはそぐわない面がある」として、「地券」(土地証券)の発行を含め、国が主体となった新たな土地区画整理事業を検討すべきとした。
今回の震災ではマンションも大きな被害を受けているため、その早期再建を目指して、区分所有法に基づく建て替え決議要件の緩和や現地以外での建て替えなど、マンション再建のための新しい法整備が必要とした。復旧・復興に民間資金を呼び込むため、今国会に提出されている「改正PFI法案」の早期成立を目指すとともに、震災復興に向けた特例の検討も提案した。
このほか、▽被災地域の失業者の公共事業での雇用▽解体業者・運搬業者の指定登録制度の創設▽解体工事と廃棄物処理の一元的な指揮系統の確立―なども盛り込んだ。
提供:建通新聞社