全国知事会は23日、東日本大震災の今後の対応についての緊急要請を政府に行った。災害復旧事業を国家プロジェクトとして実施することや、総合的な住環境の整備を念頭に置いた特別な被災者生活支援制度の構築などを提案している。
知事会は今回の震災の特徴として、▽想定を超えた大きさの地震と津波による甚大な被害で、インフラの復旧と被災者の生活再建に膨大な経費が必要▽原子力発電所問題の対応が不可欠▽被災県を越えた避難が多数発生―を挙げ、特別法などによる柔軟・大胆な対応の必要性を訴えた。
復旧・復興経費については、特別立法で地方交付税の総額の特例を設けて、普通交付税の基準財政需要額とは別枠で地方に措置するよう提案。ここで措置する経費の対象は、災害関連だけでなく、被災地以外の自治体が被災者を支援するために負担する避難所の開設や仮設住宅の整備、支援物資の調達など柔軟に認め、地方の主体性を生かせるようにすべきとした。
さらに、被災地の道路や港湾、河川、下水道、社会福祉施設などの災害復旧事業については、復興計画に基づいて国家プロジェクトとして全額国の負担で実施すべきとした。
被災者の生活支援に対しては、住宅の損壊程度に応じて個人に支援金を支給している現行制度だけでは対応できないと指摘。集落全体が喪失し、新たな街づくりを行わなければならない状況を踏まえた総合的な住環境の整備を念頭に置いた制度の構築を求めた。
この際、単に原形復旧するのではなく、地形の精査に基づいた土地利用方法の再検討が必要で、この過程の中で、住民の移住を行う必要性も高いとした。併せて、被災した原子力発電所の周辺住民の移住の可能性にも触れた。その上で、被害を受けた土地・施設の修復や防災対策に考慮した被災地の再開発だけでなく、被災地以外での宅地整備や地域再生の重要性を指摘。これらの取り組みを対象にした基金を国が全額負担して創設すべきとした。
提供:建通新聞社