国土交通省は、東日本大震災などで被害を受けた建設業者の資金繰りを支援するため、公共工事(業務を含む)の代金を速やかに支払うよう、18日付で都道府県・政令市に要請した。被災工事に対しては、直轄事業と同様に被災前の出来高に応じた年度内の支払いを検討するよう要請。これが困難な場合には@被災後の出来高に応じた支払いと損害合計額のうち発注者負担分の支払いA損害合計額の発注者負担分の予定額(概算額でも可)を記載した書面の交付―をできるだけ年度内に実施するよう求めた。国交省は発注者から予定額が書面交付された場合、地域建設業経営強化融資制度を活用し、被災企業の資金需要に対応する方針だ。
年度末・決算期を控え資金需要が高まる中で、被災した施工中の工事や一時中止命令を受けた工事の支払いが滞れば、企業活動に重大な影響を与え、災害応急復旧などにも支障が生じる恐れがある。国交省はこうした懸念を背景として、都道府県・政令市に支払いの迅速化と管内市区町村への周知徹底を求めることにした。
被災した直轄事業についてはすでに、被災前の出来高を工事出来形内訳書と実施工程表付工事履行報告書などで確認した上で迅速に支払うことを決めている。今回、都道府県・政令市をはじめとする地方公共団体にも、これと同様の措置の検討を求めた。
ただし、手続き上、被災前の出来高に応じた支払いが難しいケースがあることを想定し、次善の策として被災後の出来高に応じた支払いと、損害合計額のうち発注者負担分の支払いをできるだけ年度内に行うよう要請した。
さらに、これが難しい場合には損害合計額の発注者負担分の予定額(概算額でも可)を記載した書面をできるだけ年度内に交付することを求めた。書面が交付されれば、工事請負代金債権を流動化させる「地域建設業経営強化融資制度」の仕組みを使って、建設業者の資金需要に応える考え。その活用に向けて、受注者から債権譲渡承諾の申請があった場合には、承諾手続きを迅速化することも地方公共団体に要請した。
被災工事以外の工事でも、▽受注者が地震の影響を受けて当面の完成が困難となったものや中止命令を受けたものについて、出来高に応じた部分払いをできるだけ年度内に実施する▽検査未了の完成工事について、完成検査・代金支払いをできるだけ年度内に実施する―などの必要性を指摘した。
被災企業が出来高確認や支払いに必要な書類を整えられない事情がある場合は、可能な範囲での必要書類の提出と事情聴取で確認するなどの配慮も求めた。
提供:建通新聞社