設計業務の品質確保に向けて国土交通省は、受発注者の責任と役割を明確化する取り組みに乗り出す。2011年度に必要な設計条件などを確実に明示するための「条件明示ガイドライン」や、発注者が検査すべき項目を示す「検査技術基準」を作成する。また、受発注者のコミュニケーションを円滑化する観点から、▽適切な履行期間と履行期限の平準化▽受発注者での合同現地踏査▽業務スケジュール管理表▽ワンデーレスポンス―を積極的に推進する。
こうした取り組みは、直轄事業での設計ミスが多発している現状を打開することが狙い。7日に開いた「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東京大学大学院教授)の中で、設計ミスの発生要因を▽受発注者の役割と責任が適切に果たせていない▽検査内容が広範囲で、発注者の役割と責任の範囲が明確でない―という2点に整理した上で、具体的な対策の在り方を議論した。
条件明示ガイドラインは、業務ごとに必要な設計条件などを確実に明示・指示するため、発注前に条件明示事項が網羅できているかを確認できる内容とし、業務発注での活用を徹底する。
また、完了検査などで発注者が行うべき合理的な検査方法・確認方法を明確化するため、工事では既に定められている「検査技術基準」を作成する。
設計ミスの防止には、受発注者間のコミュニケーションを円滑化することが重要とみて、10年度まで試行してきた品質確保の取り組みも本格化させる。具体的には、適切な履行期間を確保するため、できる限り早期発注に努めるとともに、年度末に納期が集中することを避ける目的で、可能なものは2月末や1月末に納期を設定する。
現地条件を受発注者が一緒に確認し設計方針を共有する「合同現地踏査」や、設計着手段階で受発注者が合意したスケジュールに沿って、業務を遂行する「業務管理スケジュール表」、受注者からの質問・協議に原則として即日回答する「ワンデーレスポンス」も積極化していく。
さらに、11年度には測量・地質調査といった設計業務以外の品質確保策や、設計ミスを発見するための新たなチェックシステム、適正な企業・技術者の評価・選定方法、適切なペナルティーの適用方法などを検討する方針だ。
提供:建通新聞社