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2011/03/11

直轄工事で基幹技能者評価型を全国展開 専門工事業の技術提案審査型は下請見積もり提出方式と一体運用へ 国交省

 国土交通省は、直轄工事の総合評価方式で特定専門工事審査型や地元企業活用審査型、二段階選抜方式など、多様な入札契約方式の試行を2011年度から拡大する方針を固めた。このうち、特定専門工事審査型では、基幹技能者の活用や優先配置に加点する「基幹技能者評価型」を全国展開するとともに、評価対象の職種を増やす。専門工事会社から技術提案を提出させて技術評価する「技術提案審査型」は、下請けからの見積もりを入札時に提出する「下請見積もり提出方式」と一体的に運用する。地元企業活用審査型や二段階選抜方式などを含め試行対象や内容を早急に詰める。
 10日に開いた「総合評価方式の活用・改善等による品質確保に関する懇談会」にこうした考え方を提示し、委員から了承を得た。ただし、国交省の建設産業戦略会議で進めている入札契約制度改革の議論とも絡むため、実施方針の確定は3月中旬以降となる。
 特定専門工事審査型は、専門工事業の技術力が品質に大きな影響を及ぼす工事を対象として、入札参加者に加え専門工事業者の技術力も評価する仕組み。07年度から一部の地方整備局が試行を始め計95件の実績がある。このうち、技術提案審査型は25件、基幹技能者評価型は70件となっている。
 技術提案審査型の試行拡大に当たっては、対象範囲の在り方などを検討するほか、下請けへのしわ寄せを防ぐため「下請見積もり提出方式」と組み合わせて適用することを想定。下請見積もり提出方式では、入札時に下請けからの見積もりを提出させ、仮に見積もり額を下回る下請契約を締結した場合には、重点的な監督・検査や建設業許可部局による指導の対象となる。
 基幹技能者評価型は試行を全地方整備局に広げるとともに、現行の「鳶・土工」「機械土工」「鉄筋」「型枠」「配管」に加え、「電気」「造園」「建設塗装」「内装仕上」「建築板金」を評価する方向で検討する。
 地元企業活用審査型は、地域精通度・貢献度の評価に当たり、地元の下請けや資材会社を活用しているかどうかを評価するもの。09年度から79件試行している。これまでの試行では地元企業の下請活用率を評価項目として採用するケースが多かったが、工事の品質確保や優良な建設企業の評価を進める観点から、下請企業としてふさわしい評価項目をあらためて設定していく。
 二段階選抜方式は、入札前に技術的能力を審査し参加者を絞り込む仕組み。10年度に7件試行した。受発注者に同方式の評価を尋ねたところ「入札参加者の技術提案や審査に要する負担を軽減した」との声がある一方で、「選抜される企業の固定化につながる」「手続き期間が長引く」といった指摘もあった。こうした課題の解決策を探りつつ、適切な選抜数を含め試行方法を固めていく。

提供:建通新聞社