建設業情報管理センター(CIIC)と建設業技術者センター(CE財団)が共同設置した「建設業の経営分析・地域建設産業のあり方検討委員会」は、経営事項審査を受けた建設業約7万社の経営分析結果をまとめた。それによると、2007年度から09年度の3年間では、小規模な企業ほど「収益性」「健全性」「生産性」の悪化傾向が見られた。業種別では「土木」や「職別」で利益率の低さが目立った。09年度の売上高経常利益率を規模別に見ると、売上高3億円が黒字企業と赤字企業の境目となっていることも分かった。
こうした分析は、検討委員会の下に設けた経営分析分科会が主体となって実施し、2日に開いた検討委員会に報告書を提出した。CIICに経営状況分析申請があった建設業者のうち、▽法人組織▽兼業事業売上高が総売上高の2割未満▽資本金5億円未満、負債総額200億円未満―などの要因を満たした6万8782社を対象とし、「収益性」「活動性」「流動性」「健全性」「生産性」などの観点から建設業の経営状況を分析した。 収益性については、六つの指標中、総資本売上総利益率は改善したものの、そのほかの指標は悪化した。業種別では「土木」「職別」の総資本経常利益率や自己資本経常利益率、売上高経常利益率が低かった。売上高別に見ると、大規模階層ほど収益性が高かった。分科会の報告書は「小規模階層は売上総利益率が高いものの、販売費や一般管理費を賄うだけの利益額を確保できていない」と分析している。
健全性を見ると、固定長期適合比率が改善したものの、そのほか5指標では悪化。業種別では、「職別」の借入金依存度、純支払利息比率、負債回転期間などの悪化が顕著となった。売上高別では、「5000万円未満」が自己資本比率でマイナス(債務超過)となっていた。
生産性は、建設工事付加価値率が横ばいとなったものの、技術職員一人当たり完成工事高・建設工事付加価値はいずれも悪化。活動性は、棚卸資産回転率が改善したが残る3指標は悪化した。一方、流動性は必要運転資金月商倍率が横ばいだったが、そのほかの4指標は改善した。
報告書では今後の経営の方向性として「工期の短縮などによる生産性の向上、収益規模の拡大、工事原価の縮減、販売費・一般管理費の圧縮」の必要性を指摘している。
提供:建通新聞社