国土交通省の「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」(座長・小澤一雅東京大学大学院教授)は7日の会合で、2011年度に実施する調査・設計業務の品質確保策を固めた。業務の効率化・簡素化に向けては、技術力の評価を重視する総合評価方式で技術提案書の提出者数を現行の10者から5〜7者まで絞り込む。設計共同体の評価方法をめぐっては、11年度も試行を継続し、その結果を分析・評価していく。また、調査・設計分野でのプロポーザル方式・総合評価方式の運用手法を示すガイドラインを、11年度上半期に改定することも決めた。
技術提案書提出者数の絞り込みは09年度に現行10者を5者とする制度を試行したが、受注者から「実績豊富な大手企業に比べ中小企業が不利になる」「指名機会が減少し、業者の寡占化につながる」といった指摘が寄せられ、10年度は試行を見送った経緯がある。一方で、受発注者の負担を軽減する効果も期待できることから国交省は、受注者への影響を考慮した上で、新たな仕組みを講じることにした。
具体的には、価格点と技術点の比率が1対2〜3となる、技術力の評価を重視した総合評価方式に限り、指名競争での技術提案書提出者数を5〜7者に絞り込む。試行件数は、地方整備局ごとに対象業務の1割を目安とし、その結果を検証。価格点と技術点が1対1の総合評価方式は、新規参入者などへの配慮から現行の10者までを維持する。
設計共同体をめぐっては、09年度に総合評価方式で設計共同体が活用できるよう措置し、10年度は同業種設計共同体と異業種設計共同体の評価方法をそれぞれ検証してきた。ただし、試行件数が同業種3件、異業種10件と少なかったことに加え、試行のメリット・デメリットで評価が分かれたため、11年度は試行を継続することにした。
調査・設計業務のプロポーザル方式・総合評価方式などに関する運用ガイドラインは、前回までの懇談会で指摘された事項を反映させるとともに、評価の適正化を図る観点から改定する。価格競争方式の競争参加資格として地域要件をより積極的に評価する方向で記載内容を見直すほか、▽技術者資格の追加(土木学会認定技術者、コンクリート診断士、土木鋼構造診断士)▽技術者の成績・表彰の適用年数の適正化▽担当技術者の実績・成績を予定管理技術者としての評価に活用▽プロポーザル方式での表彰実績の全地方整備局への適用―などを盛り込む。
提供:建通新聞社