直轄の調査・設計業務で2010年度から試行している「履行確実性評価」によって、低価格での応札や落札が大幅に減少している実態が、国土交通省がまとめで分かった。履行確実性評価の適用が実質的に始まった10年9月から12月までの低入札応札発生率(土木コンサルタント、予定価格2000万円以上)は3・6%で、4〜8月の9・1%に比べ6割減となり、さらに低価格で落札された割合は4〜8月の9・3%から9〜12月は0・5%に激減した。こうした結果を踏まえ国交省は、11年度から履行確実性評価の対象業務をすべての地方整備局などで予定価格1000万円超に拡大する方針だ。
履行確実性評価は、調査基準価格を下回った者すべてに追加資料を提出させた上で、@業務内容に対応した費用が計上されているかA配置予定技術者に適切な報酬が払われることになっているかB品質管理体制が確保されているかC再委託先への支払いは適正か―という4項目を審査し、「技術提案の確実な履行の確保」という技術評価項目の中で技術提案評価点を5段階で減点評価するもの。10年度は一部の地方整備局を除き予定価格2000万円以上の総合評価方式による業務を対象に試行している。
国交省が7日の「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」に示した履行確実性評価の実施状況によると、大半の地方整備局で試行が始まった9月以降、応札行動に大きな変化が見られた。
具体的には、4〜8月に総合評価方式で発注・契約された予定価格2000万円以上の業務(土木コンサル関係)の応札件数は4848件で、このうち9・1%に当たる442件が低価格での応札だった。これが9月〜12月では、全応札件数3141件中112件と3・6%まで減少した。
落札状況を見ると、4〜8月は856件の落札のうち9・3%に当たる80件が低価格で落札されたのに対し、9〜12月は375件のうち低価格落札が0・5%の2件になった。国交省によると「この2件も落札者以外の応札が無効となったことによるもので、履行確実性評価の対象で落札された業務は実質的になかった」という。
国交省は履行確実性評価の効果が確認されたことから、11年度に全地方整備局などで対象業務を予定価格1000万円超に広げる。10年4〜12月までの実績に当てはめると、対象業務の割合は74・1%となり、10年度の試行割合に比べ倍増する計算だ。
提供:建通新聞社