公共調達システム改革を目指す超党派の参議院議員らで構成する「公共調達適正化研究会」は24日の会合で、公共工事の低価格受注問題への対応状況などを公正取引委員会や国土交通省からヒアリングした。公取委は建設工事の低価格受注について「独占禁止法で禁止する不当廉売として問題がある行為が認められた場合には、必要な措置を講じている」と説明。これに対し、自民党の脇雅史氏は「公共工事は発注者が圧倒的に有利な世界。公取委は談合だけを問題視するが、ダンピング対策にもしっかり取り組むべき」などと厳しく指摘した。
今回の会合では、公取委が▽不当廉売に対する命令・警告の件数は01年度から10年度までの10年間で43件▽このうち、建設業に対する命令・警告の件数は10件▽10年間で入札談合に対し法的措置を講じた事件数は85件―といった状況を報告。国交省は入札契約制度の現状などを説明した。
意見交換の中で、脇氏は「例えば、いま随意契約が悪いことだと思われているが、特定の会社に仕事をさせることがふさわしい場合、そこに頼むのは果たして悪いことなのか。不正が絡むならば論外だが、選定条件を公表すればいいのではないか」と問題提起した。
また、低価格応札やくじ引きでの落札が横行している点について「建設会社は受注の見通しが立たず、数年先を見据えた経営計画を策定することもできない」と述べた上で、「国は当事者意識が足りない。疲弊する建設業者が公共工事でしっかり利益が出せる仕組みを我々と一緒に考えてほしい」と訴えた。
この研究会は、公共調達システムの改革に向けた新法を制定しようと、2010年12月に発足した。本通常国会への法案提出を目指している。
提供:建通新聞社