国土交通省は、2011年度から土木関係コンサルタント業務で新たな積算手法を全面適用する。企業会計基準との整合性を確保するため、積算の費目構成のうち「技術経費」を各費目に振り替えた上で、業務原価と販管費の区分を明確化することが柱。設計業務等標準積算基準書を21日付で改定し、4月1日以降に入札公告する業務から適用する。
現行の積算手法は▽企業会計上存在しない「技術経費」を使用している▽「諸経費」の概念が企業会計の経費と異なる―といった点が課題として指摘されていた。このため国交省は09年度から一部工種で新たな積算手法の試行を開始。当初は数年をかけて段階的に工種を増やしていく方針だったが、10年9月に開いた「調査・設計等分野における品質確保に関する懇談会」で全面適用の時期を前倒しすることが決まった。
適用に当たっては、積算の費目構成を▽業務に従事する技術者の人件費である「直接人件費」▽旅費交通費や印刷費、外部委託費など、業務の実施に直接必要な費用である「直接経費」▽部門管理者や事務職員の人件費、消耗品費などに充てる「その他原価」▽役員報酬や従業員給与、法定福利費のほか、企業の利益分などを含む「一般管理費等」―に区分する。
直接人件費の積算には、技術経費の一部を振り分けた新たな歩掛かりを使用する。ただし、業務価格(予定価格)は現行とほぼ同じ水準になる。
新たな積算手法に対応した低入札調査基準価格の設定手法については、10年度内をめどとして別途通知する。
提供:建通新聞社