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2011/02/23

国土基盤ストックの維持管理・更新費 30年ごろには倍増 国交省の長期展望委員会が中間報告

 2030年ごろ、国土基盤ストックの維持管理・更新費は現在と比べ約2倍となり、特に市区町村事業での増加が大きい―。国土交通省の「国土審議会政策部会長期展望委員会」は、21日にまとめた中間報告にこうした推計を盛り込んだ。増大する維持管理・更新需要への対応として、中間報告は「計画的な維持補修や長寿命化などにより、維持管理・更新費の平準化を図る必要がある」「国土基盤ストックを維持管理する専門技術を持った人材が重要であり、民間部門の活用など維持管理の仕組みづくりが必要」などと指摘している。
 この検討委員会は、50年ごろまでの国土を展望した上で、将来的な国土の重要課題を検討するため10年9月に設置された。中間報告では、現状のまま推移した場合、50年ごろには総人口が1億人を下回り、高齢化率は約40%に上昇すると予測。さらに地球温暖化が日本の平均気温を2・1度を押し上げるとの見通しを示した。
 人口減少への対応として、中間報告では「急激な人口減少に加え高齢化率が高まっていく地方圏では、生活・産業の基盤の充実、地域の特色を高める方策など、地方圏の発展に必要な要素の確保について具体的な施策を検討していく必要がある」とした。また、過疎化が進む地域の人口は現在の4割に落ち込むと予測し、「集落機能の維持、あるいは代替的仕組みの導入について、ハード・ソフト両面から検討する」必要があるとした。
 国土構造分野では、維持管理・更新費の急増に加え、維持管理を担う公務部門の技術者、作業者の数が05年と比較して50年には半分以下になると予測。特に人口が少ない地方圏では、一人当たりの維持管理・更新費が大きくなる傾向があるため、「費用の確保、効率的な維持管理・更新の方策などの検討が必要」との考えを示した。

提供:建通新聞社