国土交通省の「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大学教授)は21日の会合で、建設産業の現状を踏まえた入札契約制度の在り方をめぐる議論を本格化させた。この中で、参加したすべての委員が「地域を維持するための入札制度は必要」との考え方で一致。また、競争激化の影響で1件の工事に相当数の応札がある現状については、「受発注者双方の負担が重く、社会的コストが増えている」との認識を共有した。
2010年12月に設置された建設産業戦略会議は、地域建設業の再生方策を中心に建設産業全体の方向性を探ることが狙い。1月7日に基本方針を打ち出した後、前回2月7日までに建設業界からヒアリングを実施。今回の会合では、3月中に見込む入札契約制度改革に関する中間報告の策定に向けた議論を展開した。
建設産業の現状について事務局が▽中小建設業、土木工事業は利益率が低く、過剰感がある▽地域建設業の人員や機材の小規模化が進み、除雪などの対応が困難になっている▽予定価格や最低制限価格などの事前公表がダンピング受注の一因になっている―といった分析結果を提示した。
意見交換では、低入札価格調査基準価格を下回った入札を排除する割合の低さなどが論点となった。基本方針に盛り込んだ「地域維持型契約方式」の在り方をめぐっては、複数年契約による共同受注方式などの可能性が取り上げられた。
提供:建通新聞社