国土交通省の「建築法体系勉強会」(座長・久保哲夫東京大学教授)は2日に初会合を開き、建築に関する基本理念などを明確化する建築基本法の制定に向けた議論に着手した。建築基準法、建築士法など既存法制も抜本的に見直す方向で議論を進めていく。建築生産の実態を幅広く把握した上で、計7回程度の会合を重ね、2012年1月に建築法体系の方向性を整理する方針だ。
この勉強会は、建築物の質を確保・向上させるため、建築法体系全体の目指すべき基本的な方向性を整理するために設置された。委員は久保座長を含めすべて学識者で構成しており、会合の模様は冒頭部分を除き非公開となっている。
初会合では事務局側が、想定される検討事項を提示した。この中で、▽建築物が備えるべき基本的性能▽建築物の質の確保に向けた建築主・設計者・施工者・行政の役割分担と責任―などの考え方を整理した上で、▽安全性などと建築活動の円滑化を両立させる建築規制手続きの在り方▽複雑化・詳細化した建築基準法体系の再編(新技術導入などの円滑化、国際基準への整合)▽専門家の資質確保・活用方策―などを検討することとした。
また、建築士事務所や設備設計事務所、設備設計者、特定行政庁、指定確認検査機関を対象とした実態調査(アンケート・ヒアリング)を行うことも提案した。
建築法制をめぐっては、大畠章宏国交相が1月の建設専門紙向け就任会見で「建築法体系の在り方をじっくりと検討し、3年後をめどとして全体的に法体系を見直す」との方針を示している。
提供:建通新聞社