宮崎県などで発生した高病原性鳥インフルエンザ(鳥インフル)を封じ込めるため、地元建設業界が懸命に対応している姿が、全国建設業協会を通じた国土交通省のまとめで浮かび上がった。同省が建設業協会の対応状況(1月31日時点)を確認したところ、宮崎県や鹿児島県では、建設業協会の会員企業が殺処分された鶏などの埋却作業や、車両などの消毒作業に昼夜を問わず取り組んでいた。鳥インフルはこれまでも各地で感染が確認されており、全国に拡大する恐れがある。このため、国交省は感染の疑いがある家畜(感染患畜)が確認された場合、関係自治体への協力など適切な対応を講じるよう、全国の建設業団体に要請した。
鳥インフルは、アジア諸国を中心に猛威を振るうウイルス性の病原体。外国では人への感染も報告されている。日本は2004年に山口県で感染が確認されて以降、各地で感染患畜が見つかっている。
宮崎県ではことし1月、宮崎市内の養鶏場で飼育されていた鶏から高病原性ウイルスを検出。直ちに農場から半径10`圏内を移動制限区域に設定するとともに、感染患畜が出た養鶏場で飼育する約1万羽の殺処分を開始した。
こうした中、宮崎建設業協会は県から消毒作業などへの協力要請を受けた。宮崎地区や東諸地区の会員企業は、宮崎市内などに消毒ポイントを設けた上で、2交代・24時間体制で消毒作業を担った。高鍋地区や西都地区の会員企業も消毒ポイントの設置に協力した。宮崎地区の会員企業はバックホーを使い鶏ふん尿を埋却するための穴掘り作業にも当たった。
その間にも、鳥インフルへの感染患畜は新富町や都農町、川南町、延岡市、高鍋町など周辺地区で次々に確認された。殺処分対象となる鶏の数は少なくとも57万羽に上り、焼却処理が困難になっていった。このため、高鍋地区などの会員企業は重機7台、散水車3台などを使って鶏埋却用の穴を掘り、埋却作業にも徹夜で取り組んできた。延岡地区の会員企業も重機2台、ダンプ1台などを用いて埋却作業を進めた。
1月26日に感染が確認された隣県の鹿児島県(出水市)でも、県からの依頼を受け鹿児島建設業協会の会員企業が消毒ポイント8カ所で消毒作業に当たっている。また、パワーショベル2台で殺処分後の鶏8600羽を埋却した。
国交省は鳥インフルの全国的な拡大への懸念から、全国の建設業団体に早期の封じ込めに向けた協力を要請した。具体的には、▽早期の疑似患畜発見のための情報収集・連絡体制の確立などに関する関係自治体などへの協力▽車両の移動に伴うウイルス拡散防止に向けた、発生地近傍での通行遮断、消毒ポイントでの消毒措置などに関する関係自治体などへの協力―などを求めた。
提供:建通新聞社