2010年度の建設投資(名目値)は、前年度に比べ7・3%減の39兆1000億円になるとの見通しを、建設経済研究所などがまとめた。前回10月時点の見通しと比較すると、補正予算の成立を受け政府建設投資を上方修正する一方、民間非住宅建設投資を、回復の遅れでマイナスとした結果、全体として1500億円の下方修正となった。11年度の建設投資は40兆2100億円と40兆円台の回復を見込むが、「円高の動向や地方での公共投資の行方によっては、投資額の下ぶれが懸念される」(建設経済研究所)という。
10年度の政府建設投資は、10年度政府予算で国の公共事業関係費が18・3%減だったことや、地方単独事業費の伸び率を3・3%減と予測したことなどを踏まえ、17・3%減の13兆9700億円とした。10年度補正予算に計上された公共事業の10年度執行分を加えたため、前回調査と比べると1500億円の上方修正となった。11年度は国の公共事業関係費を6%減、地方単独事業費を5%減とみて、4・9%減の13兆2900億円とした。
10年度の民間住宅投資は、分譲住宅や持家が、フラット35Sの金利引き下げや住宅エコポイント制度といった経済対策の効果で回復したものの、賃貸住宅の不調が続いたため、0・7%増の13兆8000億円にとどまる見通し。11年度は賃貸住宅を含め回復基調が強まるとみて、6・3%増の14兆6700億円になるとした。
10年度の民間非住宅建設投資は、設備投資の先行指標とされる機械受注が増加傾向にあるものの、依然足踏みが続いていることから、2・1%減の11兆3300億円とした。これに対して11年度は8・1%増の12兆2500億円へと回復軌道に乗る見通しを示した。
「建設経済モデルによる建設投資の見通し」は、建設経済研究所と経済調査会が四半期ごとにまとめて公表している。
提供:建通新聞社