国土交通省は、都市計画制度の抜本的な見直しに向けたこれまでの検討内容を集約し、21日に開いた社会資本整備審議会の都市計画制度小委員会に示した。重点的に検討する項目として、市街地の拡大を抑制する集約型都市構造化に向けた基本方針の明確化や、広域調整の強化、官民連携の推進など挙げた。小委員会は、これらの項目を早急に対応すべきものと、中長期的に議論すべきものに分けて、引き続き検討を進めていく。
集約型都市構造化は、市街地の拡大をこれまで以上に抑制し、密度のメリハリをつけることを目指すもの。供給対策などの性格が強かった従来の都市計画制度を、都市の生活や活動、環境などが持続可能な集約型都市構造を実現するための政策に転換する。今後、集約型都市構造化と持続可能性の関係の整理や、個別・短期的な利益と社会的・長期的な利益のバランスなどを議論していく。
広域調整の強化は、都市計画区域の位置付けを見直し、広域性を一層重視した「都市計画区域マスタープラン」の改善につなげる。当面は現行制度の枠内で運用を充実する形で対応するが、中長期的には、国土利用計画法や農業上の土地利用に関する制度を含めて体系的な整理を行う。
官民連携の推進は、利用者の視点を重視するため、福祉分野との連携を深めるほか、歩行者や自転車、公共交通にも配慮する。さらに、都市生活者だけでなく、都市計画制度を活用する「制度利用者」の視点も加えて、使いやすい制度体系の構築を目指していく。
提供:建通新聞社