超党派の参議院議員で構成する「公共調達適正化研究会」は12日に会合を開き、建設産業団体から公共調達の現状や改善方策をヒアリングした。この中で、全国建設業協会(全建)の富田和久技術顧問は「総合評価方式の形骸(けいがい)化が進み、実質的に価格競争となっている。入札契約制度の変革に向けて、予定価格の上限拘束性を再考する時期にきている」と強調。日本土木工業協会(土工協)の本庄正史積算・資材委員長は「公共投資の大幅な縮減で、ものづくりを担う建設業は衰退を余儀なくされている。いまこそ成長促進型の公共事業を強力に推進すべき」と訴えた。
公共調達適正化研究会は、予定価格の上限拘束性をはじめとした現行の公共調達システムを見直し、建設産業の再生につなげていくことを目的として、2010年12月に発足した。呼び掛け人の一人である自民党の脇雅史氏は会合の中で、「会計法の“安ければいい”という考え方は(制定時)の明治以来変わっていない。日本のためにまっとうな契約制度を導入するしかない」などと述べた。
ヒアリングには、全建、土工協に加え、日本道路建設業協会(道建協)、日本橋梁建設業協会(橋建協)、建設産業専門団体連合会(建専連)の計5団体が出席した。
道建協の石井哲夫道路整備推進特別委員長は「10年度の直轄国道維持修繕工事は発注件数が前年度に比べ半減する見通し。舗装修繕の遅れは安全面の問題に加え、ライフサイクルコストにも悪影響を与える」と指摘。その上で、改善方策として「道路を複数年にわたり包括的に維持管理するPPP事業の活用や、性能規定化による一括発注の導入などが有効」と提案した。
橋建協の藤井久司企画委員長は「技術提案の幅が広がる詳細設計付発注の実施や、架設工法の変更が評価できる技術提案への加算評価など、技術力を持った企業が生き残れる制度が不可欠。また、予定価格は施工難易度が反映されていない中央値であることを再認識すべき」との考えを示した。
建専連の才賀清二郎会長は現場を担う技能労働者を代表して「いま元請けのダンピング受注を止めなければ、10年後には現場に労働者がいなくなる。地方で専門工事業者の淘汰(とうた)が進めば、災害対応などはできない」と述べ、建設業を規制する建設業法など既存法令の抜本的な見直しを求めた。
提供:建通新聞社