国土交通省は、超高層建築物や免震建築物での長周期地震動対策について試案をまとめた。新築では、建築基準法に基づく大臣認定制度の運用を見直し、東海、東南海、宮城沖地震による長周期地震動を考慮した構造計算や、家具などの転倒防止対策に関する設計上の措置を求める。既存の超高層建築物などでは、長周期地震動の影響が大きいものを再検証し、必要な補強の実施を要請する。
長周期地震動は、揺れの周期が長い波を含む地震動で、ゆっくりとした揺れが長期間続く特徴がある。2003年9月に発生した十勝沖地震では、長周期地震動によって遠く離れた場所にあった石油タンクがスロッシング(液面揺動)という現象を起こし、火災事故につながった。
国交省は、この地震動が超高層建築物(高さ60bを超えるもの)や免震建築物に及ぼす影響が大きいとみて、08年度から調査に着手し、今回の対策試案をまとめた。
それによると、超高層建築物などを新築する場合は、▽想定される東海地震、東南海地震、宮城県沖地震の3地震による長周期地震動を考慮した設計用地震動による構造計算を求める▽家具などの転倒防止対策に関する設計上の措置について説明を求める―方向で、大臣認定の運用を見直す。また、3地震以外の地震や複数が連動する場合の設計用地震動について余裕を持った設計を行う際の参考情報を提供する。
既存の超高層建築物などに対しては、長周期地震動の影響が大きいものを再検証した上で、必要な補強を行うよう要請する考えだ。
国交省は対策試案に対する一般からの意見を2月28日まで募集する。併せて関係団体との意見交換を幅広く実施する。
提供:建通新聞社