国土交通省は、新たな社会資本整備重点計画の骨子案をまとめ、21日に開いた社会資本整備審議会・交通政策審議会の計画部会合同会合に示した。社会資本整備の在るべき姿を明確化するため、政策課題ごとに事業実施に関する必要量や個所数を示す「アウトプット指標」を導入する。計画の実効性を確保する観点から、地方公共団体が必要な社会資本整備などを盛り込んだ「地域計画」(仮称)を提案し、国と連携しながら事業を実施していく制度も整える。今後、アウトプット指標の内容などを詰めた上で、国民や地方公共団体からの意見聴取を経て、8月の閣議決定を目指す。
社会資本整備重点計画は、社会資本整備を重点的・効果的に進めていくため今後の公共投資の方向性を示すもの。2008年度から12年度までの5年間を計画期間とする現行計画は09年3月に策定されたが、政権交代を契機としたさまざまな政策転換を踏まえ、計画を抜本的に改定することにした。
新計画の策定に当たっては、国交省が所管する事業について国土、生活、地域・産業といった分野ごとに政策課題を提示する。重点目標には▽いま整備しないと国際競争力を著しく喪失する恐れがある▽いま整備しないと将来世代に大きな負担を課す恐れがある▽いま整備することで大きな経済効果を発揮する▽いま維持管理(更新)を行わないと、将来極めて危険となる恐れがある―ものを位置付ける。
計画の進ちょく状況を把握するための指標をめぐっては、従来の「アウトカム指標」に加え、事業実施の必要量や個所数を示す「アウトプット指標」を導入する。実効性を確保するための方策としては、計画部会が事業・施策の実施状況や目標の達成状況をチェックし、必要に応じて改善などを提言する。また、地方公共団体が、地域での内発的な取り組みの方向や必要な社会資本整備事業などを盛り込んだ「地域計画」(仮称)案を提案する制度を構築する。国と提案主体が調整の上、計画に同意した場合には、両者が計画を踏まえて社会資本整備事業などの実施に努めることになる。
提供:建通新聞社