国土交通省は17日、地域建設業の再生方策などを話し合う「建設産業戦略会議」(座長・大森文彦東洋大学教授)を開いた。冒頭、馬淵澄夫国交相は「地域を担う建設産業が誇りを持って仕事ができる環境整備の在り方を、タブーを恐れず議論してほしい」と述べ、より踏み込んだ施策の検討を求めた。戦略会議は1月に基本方針を固めた上で、3月に入札契約制度などの見直しに向けた中間報告をまとめる。入札契約適正化法に基づく適正化指針の見直しも視野に入れている。その後、6月の最終報告を踏まえ必要な制度改正に取り組む考えだ。
馬淵国交相は地域建設業を取り巻く現状について、「政権交代に合わせ公共事業費を大幅に削減したことで、地方の公共事業を担う人々から悲鳴にも似た声を聞いている」と、厳しい経営環境への認識を述べた。その上で「低成長・マイナス成長時代の公共事業を考えると、地方の建設産業に対して国が一定程度関与していかなければならない」「災害対策やコミュニティー形成など地域の担い手である建設産業を、われわれがどのような形で支えていけるかを考える必要がある」といった問題意識を示した。
また、検討の進め方をめぐっては「スーパーゼネコンから中小零細まで、それぞれの立場で意見はあるだろう。それをまともにぶつけあえば調整は不可能。だからこそ、行政をつかさどる立場として方向性を示す責任と使命がある」として、国が主導的に建設産業の在り方を明確化する必要性を示唆した。
会合の中では、大森座長が建設業法の現状や課題について意見を述べた。また、東京大学大学院教授の小澤一雅委員は入札契約制度・技術者制度、京都大学大学院准教授の古阪秀三委員は重層下請け構造、モルガン・スタンレー証券の高木敦委員は建設業が抱える経営上の問題点、公認会計士の丹羽秀夫委員は建設業の原価管理の現状を中心にそれぞれ考えを披露した。
次回12月24日の会合では、日本建設業団体連合会、全国建設業協会、建設産業専門団体連合会の3団体に対するヒアリングや、主要建設業団体に対するアンケート結果を基に意見を交わし、1月6日の第3回会合で基本方針をまとめる。
提供:建通新聞社