国土交通省は、地域建設業の再生方策を検討する「建設産業戦略会議」の新設を決めた。12月17日に初会合を開き、疲弊する地域建設業の今後の在り方を幅広く話し合う。公共事業の縮小に対応するため、過剰供給構造の是正が論点の一つとなる可能性もある。2011年1月に基本方針を策定した上で、11年度以降に着手する具体策を盛り込んだ中間報告を3月にまとめる。最終報告は6月を見込んでおり、その後、必要な制度改正につなげていく考えだ。馬淵澄夫国交相が14日の記者会見で、こうした方針を表明した。
馬淵国交相は会見の中で、地域建設業の役割について「地方の疲弊は目を覆うばかり。その中で、地域の産業やコミュニティーの担い手として、建設産業の重要性を痛感している。例えば、宮崎県で発生した口蹄疫では、27万頭に上る患畜の運搬や埋却に建設業が力を発揮した。地域の担い手としての重要性が証明された格好だ」との認識を示した。
新設する建設産業戦略会議をめぐっては、「公共事業のパイが縮小する中で、地域建設業がどんどん淘汰(とうた)されつつある。こうした状況には一定の歯止めを掛けなければならない」「かつてのように、社会資本整備のパイが拡大していく中での分配ではなく、あくまで地域の末端に行き渡る形でどのように再分配機能を果たしていくかが重要となる」などと、議論する対策の方向性を語った。
こうした観点から同戦略会議は、弁護士で東洋大学教授の大森文彦氏を座長として、地域建設産業の具体的な再生方策を中心に話し合いを進めていく。検討に当たっては、主要建設業団体に対するアンケート調査やヒアリングを実施する考え。公共事業の縮小によって顕在化している過剰供給構造の是正など、これまでよりも踏み込んだ取り組みが検討されることもあり得る。さらに中堅、準大手、大手を含めた建設産業全体の在り方にも議論が及びそうだ。
同戦略会議の委員は次の通り(敬称略)。
▽大森文彦(弁護士・東洋大学教授)▽小澤一雅(東京大学大学院教授)▽蟹澤宏剛(芝浦工業大学教授)▽草柳俊二(高知工科大学大学院教授)▽高木敦(モルガン・スタンレー証券マネージングディレクター)▽丹羽秀夫(公認会計士)▽古阪秀三(京都大学准教授)
提供:建通新聞社