今後の都市再生の在り方について検討する政府の有識者・実務者ボード(委員会)は、民間活力の利用や、既存インフラを活用した産業面での都市機能強化などを目指した都市再生基本方針の改訂案をまとめた。パブリックコメントを行った後、政府の地域活性化統合本部会合が了承し、2011年1月に閣議決定する計画だ。
少子高齢化の進展や国際競争力の強化といった、最近の経済・社会情勢の変化に対応するために改訂する。大都市から地方都市までのハード面の都市整備事項を一体的に示していた従来の方針を転換し、ハード・ソフト両面の都市再生の在り方を示した。特に大都市については、国際競争力の強化や経済の牽引に向けた戦略を明記している。
大都市の成長戦略としては、空港・港湾・道路ネットワークの整備などによる企業の経済活動の効率性を高める環境整備のほか、▽海外の高度な人材を呼び込む質の高い生活環境の確保▽大都市圏内の都市間の連携・役割分担の強化▽交通渋滞など、都市機能集積に伴うデメリットの抑制―などに取り組む。
大都市・地方都市に共通した方針としては、PPP・PFIの活用や「新しい公共」と連携することで、民間の知恵と資金の有効活用を推進するほか、▽既存都市インフラを有効活用した産業面での都市機能の強化▽コンパクトな都市の実現▽福祉・医療サービスの的確な供給による高齢者が安心して生活できるまちづくり▽子どもを生み育てやすい都市環境の整備▽低炭素社会の実現につながるまちづくり▽都市再生に必要な資金を安定供給する金融環境の整備―などを挙げている。
基本方針の改訂を受けて、都市再生緊急整備地域の整備方針も見直す。より具体性が高く幅広い施策を盛り込んだものにする考えだ。
提供:建通新聞社