厚生労働省は24日、2009年度に石綿ばく露作業による労災認定などがあった事業場を公表した。全認定事業場の数は1053事業場で、このうち事業場が不明なケースと一人親方を除き、999事業場が公表の対象になった。建設業の認定事業場は全業種の中で最も多い570事業場に上り、全体の54・1%を占めた。建設業の認定件数は571件。内訳は、労災によるものが542件、石綿救済法に基づく支給対象になったものが29件。また124件が死亡事案だった。
建設業の認定事業場の業種別内訳は、建築事業(既設建築物設備工事業を除く)430、既設建築物設備工事業103、機械装置の組み立てまたは据え付け12、その他建設事業25。
建設業従事者が労災認定を受けた疾病は、261件(うち死亡33件)の中皮腫が最も多かった。次いで肺がん249件(同60件)、良性石綿胸膜水12件、びまん性胸膜肥厚20件(同2件)の順に多かった。
また、建設業が石綿救済法(石綿による健康被害の救済に関する法律)に基づいて特別遺族給付金の支給決定を受けた疾病は、肺がん17件、中皮腫11件、びまん性胸膜肥厚1件だった。
労災認定などを受けた建設業の石綿ばく露作業には、建築現場や解体現場での作業や、配管・断熱・保温・ボイラー・築炉関連作業のほかに、道路建設・補修、上下水道、エレベーター製造・保守などにかかわる作業があった。
同省は現在のところ作業別の労災認定・特別遺族給付金の支給決定件数は集計していない。しかし、石綿による健康被害の問題に詳しい医師など専門家は、吹付け石綿のある建物・倉庫・部屋などで作業していた、いわゆる建物由来ばく露による健康被害が今後さらに増加すると懸念しており、「作業別の実態把握と公表が必要だ」と指摘している。
提供:建通新聞社