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2010/11/22

建設業法に基づく現場専任制や業種区分の在り方を検討へ 国交省の技術者制度検討会が初会合

 国土交通省の「技術者制度検討会」(座長・小澤一雅東京大学大学院教授)は19日に初会合を開き、技術者制度の見直しに向けた議論に着手した。事業仕分け第2弾で廃止と判定された監理技術者資格者証の交付や監理技術者講習義務付けについて、監理技術者情報等データベースの活用などを視野に検討を進め、次回12月24日の会合で一定の方向性を示す。その後、現場専任制や直接的雇用制度、業種区分の在り方など幅広いテーマについて議論を重ね、最終的な成果を2011年度春をめどにまとめる考えだ。
 この検討会は、公共投資の縮小や少子高齢化など建設産業を取り巻く状況が大きく変動する中、優秀な技術者の確保・育成・評価を推進するとともに、不良不適格業者の排除によって優れた建設業が発展する仕組みの構築を目指して設置された。
 初会合では、国交省が検討フレームとして、▽技術力の確保・維持向上による確実な施工確保▽適正な技術者であることを発注者や許可行政庁が確認できる仕組みの構築▽業界の経営環境の変化に対応した運用―という三つの視点を提示。その上で、具体的な検討課題として▽監理技術者講習に代わる方策▽監理技術者証の交付に代わる方策▽現場専任制での専任金額の設定の妥当性▽直接的雇用制度の点検の必要性▽新たな市場への対応の必要性▽不正防止対策(技術者個人への罰則の在り方)―などを盛り込んだ。
 このうち、監理技術者資格者証の交付をめぐっては、約68万人分のデータがストックされている「監理技術者情報等データベース」などを有効活用し、技術者情報を幅広く開示していくことを念頭に制度の在り方を具体化する。下請け業者(主任技術者)も含めた表示・確認方策の必要性も議論していく。監理技術者講習義務付けの代替措置としては、事前に実施した主要建設業団体へのヒアリングの中で「専門団体の継続教育(CPD)制度を活用すべき」といった指摘があったという。
 工事現場での技術者専任制については、請負金額が2500万円(建築一式の場合は5000万円)以上となっている専任金額の妥当性を検証するとともに、現場専任を要しない期間の考え方などを整理する。現在は「建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者」(公共工事での元請け専任技術者は3カ月以上の雇用関係が必要)に限定する監理技術者や主任技術者の要件も、現状に合っているかどうかを点検する。
 さらに維持・更新需要の拡大をはじめとした建設市場の環境変化を踏まえ、新たな分野への対応方策を話し合う。検討会の中では、この点に関連して北海道大学大学院准教授の高野伸栄委員が「建設業許可28業種の分類にも手を付けるのか」と問題提起し、小澤座長も「28業種の在り方と建設業許可制度は密接にかかわっており、ぜひ論点を設けてほしい」と注文を付けた。
 こうした指摘に対し、国交省は「世の中が変化している状況の中で、見直しの必要性があるかどうかを教えてほしい」と述べ、検討テーマの一つに位置付ける姿勢を明確化した。

提供:建通新聞社