国土交通省は、経営事項審査(経審)の新たな審査基準を決めた。技術者評価に当たっての雇用の要件を、審査基準日前6カ月を超える恒常的雇用へと厳格化する。W点では、建設機械の保有(一定のリースを含む)に対し1台につき1点で最高15点、ISO取得に対して9000シリーズ、14000シリーズに各5点の最高10点を加点する。一方、法的整理の対象となった再生企業に対しては、大幅な減点措置を講じる。完成工事高の評点テーブルは平均700点となるよう上方修正する。きょう15日付の官報で省令などを公布し、2011年4月1日から施行する。
今回の審査基準見直しは、国交省が本年3月に打ち出した入札契約改革の一環として実施するもの。いわゆるペーパーカンパニーを排除し、企業の実態をより公正・適正に評価することが狙いだ。
主な改正点のうち技術者評価については、技術者の名義借りなどを防ぐ観点から、審査基準日時点での恒常的雇用という現行の要件を、「審査基準日以前に6カ月を超える恒常的雇用関係にある者」に限定。雇用実態は、健康保険証や雇用保険被保険者資格取得等確認通知証、給与支給明細書、出勤簿などで確認する。また、高齢者雇用確保安定法に基づいて、定年退職後に継続雇用された技術者は新たに評価対象に加える。
W点の評価項目には、▽建設機械の保有状況▽ISOの取得状況―の2項目を追加する。評価対象となる建設機械はショベル系掘削機、ブルドーザー、トラクターショベルとし、1台につき1点を加点する(上限は15点)。審査基準日から1年7カ月の契約期間を持つリースも評価対象に含める。ISOは9000シリーズ、14000シリーズの取得にそれぞれ5点を加点する。
ただし、こうした加点措置によってW点のウエートが過度に高まることを防ぐため、W評点全体を95%に圧縮する。
法的整理(民事再生法、会社更生法)の対象となった再生企業に対しては、債権カットによって下請けなどに与えた負担の大きさを考慮し、W点の減点措置を講じる。具体的には、11年4月1日以降に再生・更正手続き開始を申し立てた企業を対象として、再生期間中はW点から60点を一律に減点する。加えて、再生期間終了後は営業年数評価をゼロ年にリセットする。
完成工事高(X1)と元請完成工事高(Z2)は、建設投資の減少を踏まえ平均点数700点となるよう評点テーブルを上方修正する。10年度のX1点、Z2点は平均でそれぞれ688点、609点となる見込み。これが、新たな審査基準ではX1点が平均12点程度、Z2点が平均91点程度引き上げられる計算だ。
提供:建通新聞社