国土交通省は経済対策の一環として、地域建設業への支援を強化する方針を固めた。中小建設業の資金繰り支援策である「地域建設業経営強化融資制度」と、下請け企業などの連鎖倒産防止に向けた「下請債権保全支援事業」について、対象範囲を広げ利用者の使い勝手を高める方向で制度を見直すとともに事業期間を2011年度末まで延長する。また、エコ改修や耐震化、維持修繕など成長が見込める分野への建設業の展開を支援する。いずれも政府が臨時国会に提出する補正予算の成立後に運用を始める方針だ。
「地域建設業経営強化融資制度」は、公共工事請負代金債権を流動化させ、それを担保に工事完了前の資金調達を可能とする仕組み。今回、公共工事に限定していた工事の対象を病院や福祉施設、PFIといった公益的民間工事に広げる。また、保証限度枠方式という手法を用いて、下請契約締結時点で保証を申し込めるようにする。
「下請債権保全支援事業」は、下請けや資材会社が持つ売掛債権(手形)の支払いについて、国がファクタリング会社に対して保証料の一部を助成するとともに、元請けが倒産した場合でも下請け代金などの債権を保全するもの。債権保全対象とする元請けは「過去2年間に公共工事の受注実績があること」を要件としていたが、「経営事項審査の受診企業」に見直すことを視野に入れている。これが実現すれば、潜在的な対象企業数はおおむね2倍に増加する計算だ。
こうした金融支援の強化に加え、建設業の成長分野への展開も後押ししていく。具体的には、地域の建設業がエコリフォーム事業や耐震化事業、維持管理事業などに事業展開する際、その立ち上げに要する費用などの一部を複数年にわたって助成する。補助対象となるには、▽地域の複数の建設企業による連携した取り組みである▽技能者を雇用する―という要件を満たす必要がある。
提供:建通新聞社