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2010/10/06

UR都市機構 組織は特殊会社化、新公的法人化のいずれかを政治判断  事業は重点化へ 国交省・検討会が報告書

 国土交通省の「独立行政法人都市再生機構のあり方に関する検討会」は、UR都市機構の組織や事業の見直しに向けた報告書をまとめた。組織の在り方として▽政府100%出資の特殊会社とする▽新しい公的法人(公的機関)とする―の2案の実現可能性が高いとし、いずれの案を採用するかは政治判断に委ねることとした。賃貸住宅部門や都市再生部門などの事業を重点化する必要性も盛り込んだ。馬淵澄夫国交相は5日の会見で、「事業・組織の見直しに向けた工程表を年度内に策定し、より具体的な道筋を明らかにしていく」方針を示した。
 UR都市機構をめぐっては、2009年12月に「独立行政法人の抜本的な見直し」が閣議決定され、本年4月には行政刷新会議が実施した事業仕分け第2段では▽都市再生事業の実施基準などを明確化する▽賃貸住宅部門を都道府県や民間に移行する―といった方向性が示された。こうした動きを踏まえ国交省は10年2月に検討会を設け、事業や組織の在り方を探ってきた。
 今回の報告書では、UR都市機構の見直しに向けた基本方針として、@役割を終えた事業・組織、民間に委ねることが適切な事業・組織は廃止・縮小をベースとするA負債返済や繰越欠損金の解消は経営努力を基本とし、一般会計による肩代わりなどは極力回避するB見通せる時間軸の範囲内で期限を明示して(見直しを)断行する―の3項目を掲げた。
 その上で、賃貸住宅部門は、コスト削減による業務の効率化、収益力の確保を通じて借入を圧縮することや、地方公共団体などが譲り受けを希望する物件について、機構の財務が悪化しない条件で譲渡することなどが必要とした。
 一方、都市再生部門では、民間事業のリスクヘッジ機能や、財源・人員に乏しい地方公共団体の代替機能を機構の役割としつつ、事業範囲は必要最低限とするよう実施基準を明確化するべきと指摘。地方都市の整備事業についても、新たに定める実施基準を厳格に運用するよう求めた。民間事業のリスクヘッジに向けて、ファイナンス機能を持つ民間都市開発推進機構との統合を検討することも提起した。
 ニュータウン部門に関しては、土地売却を急いで事業を早期に清算することを前提としつつ、不動産市場の動向を注視して売却損を極力抑えるべきとした。
 組織の在り方については、政府関与から解放して営利企業として独り立ちさせる「完全民営化」が望ましいとしながらも、機構の巨額な負債の返済や繰越欠損金の存在を念頭に置いた場合、▽政府100%出資の特殊会社とする▽新しい公的法人(公的機関)とする―のいずれかの現実可能性が高いとの考えを示した。
 ただし、どちらの案にもメリット・デメリットがあるため、最終的な決断は政務三役に委ねることが適当とした。

提供:建通新聞社