国土交通省は、直轄工事で企業を格付けする際に用いる「発注標準」(等級別登録)の見直しに向けて本格的な検討に入った。「直轄事業における公共事業の品質確保の促進に関する懇談会・企業評価検討部会」が30日、工種・等級区分の新設・統合や、技術評価点数ゼロ点企業・経過措置の取り扱い、直轄工事の実績がない企業の参入機会確保などを論点に意見を交わした。12月をめどに開く次回会合で方向性を固め、早ければ2011年度・12年度競争参加資格審査から反映させたい考えだ。
直轄工事の発注標準は、契約履行能力を工事の規模と企業の経営力で相対的に判断し、同等の契約履行能力を持つ者同士が競争する環境を整えるために活用されてきた。しかし近年は、総合評価方式や入札ボンドの導入によって契約履行能力を評価する手段が多様化していることに加え、公共投資の減少など環境変化も顕在化している。こうした現状を踏まえ国交省は発注標準の在り方を検討することにした。
主な論点のうち、工種区分については十分な競争環境を確保する観点から、新たな工種の新設や他工種との統合などを検討する。等級区分をめぐっても、区分ごとの登録企業当たりの発注量や登録企業の技術力、地域企業への配慮などを踏まえ、区分の新設・統合、工事難易度を活用した区分の設定などの可能性を探る。また、包括的な工種である一般土木や維持修繕では、発注する工事内容に対して適切な工種区分の設定方針を検証する。地方整備局ごとにバラツキがある区分の総合点数の範囲も一定の整合を図る考えだ。
09年度・10年度の資格審査では、過去4年間に工事実績がないなどの理由で技術評価点数が0点となった企業について、等級区分のある工事種別で一律に最下位等級に格付けすることにした(ただし、09年度・10年度については、希望者は従前の等級にとどまれる経過措置を設けた)。この取り組みに対しては、0点の企業を最下位等級に位置付けることが適切かどうかをあらためて検討する。さらに、発注量が多い下位等級にとどまるために経過措置の適用を受ける企業が出ていることを踏まえ、上位等級への参入時に何らかのインセンティブを付与する仕組みなども議論する。
直轄工事の実績が無い企業の参入機会や地域建設業の受注機会を確保することも論点の一つに位置付け、競争参加資格登録、発注標準、工事ごとの競争参加資格要件などそれぞれの場面で配慮すべき事項を整理していくことにした。
提供:建通新聞社