国土交通省の「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」(座長・中川博次京都大学名誉教授)は27日、今後の治水対策の方向性や個別ダム検証の進め方などを示す中間報告をまとめ、馬淵澄夫国交相に提出した。個別ダムの検証手法に当たっては、関係地方公共団体からなる「検討の場」での議論を踏まえ、事業主体が複数の治水対策案を立案した上で、コストを最も重視しつつ総合評価して対応方針を決める。ただし、予算措置などの最終判断は国交相が行い、こうした手法から乖離(かいり)した検討が行われた場合、事業主体に再検討を指示・要請するとした。
個別ダムの具体的な検証方法としては、事業主体である地方整備局や水資源機構、都道府県が2案〜5案程度の治水対策案を立案した上で、それらを▽安全度(被害軽減効果)▽コスト▽実現性▽治水効果の持続可能性▽気候変化などに対する柔軟性▽地域社会への影響▽環境への影響―といった評価軸に沿って総合的に評価する。
評価軸の中ではコストを最も重視し、安全度は河川整備計画で想定している目標と同程度の水準とする。多目的ダムの場合は、利水などの観点からも検討を加える。検証結果は国交相に報告し、検証が終わるまでは次の段階に入る工事の予算は措置しない。
検証結果の報告を受けた国交相は、中間報告の考え方に沿って検討されたかどうかを有識者会議にチェックしてもらった上で、最終的に予算措置などの対応方針を決定することになる。
提供:建通新聞社