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2010/09/22

公共事業「経済対策や地方への再配分の機能も否定せず」 馬淵国交相が就任会見

 9月17日に発足した第2次菅内閣で、これまで副国交相を務めていた馬淵澄夫氏に国土交通行政のかじ取りが委ねられた。建設会社勤務という経歴を持つ馬淵国交相は、野党時代に耐震偽装問題や道路特定財源問題で政府・与党を厳しく追及し名を挙げた。政権交代で副国交相に立場が変わってからは、道路政策や住宅・建築政策などの具体化を主導してきた。今後、馬淵国交相は社会資本整備や建設産業に関係する政策・施策をどのように展開していくのか。21日の専門紙との就任会見で考えを聞いた。
(文・構成は編集局=高橋量太)
 ―国の公共事業費は10年度予算で大幅に削減されました。11年度はどうなるのでしょうか。
 「昨年の政権交代では、まず財源の捻出(ねんしゅつ)が必要として、マニフェストで掲げた1兆3000億円(農林水産省分を含む)の削減目標をわずか1年で達成した。この実績を踏まえ、11年度予算概算要求で示したように、(10年度並の予算を)しっかりと要求していく」
 「公共事業の削減に対して、地方からの不安・不満が数多く聞こえてくる。わたしは公共事業がすべて無駄であるとは考えていない。経済対策としての公共事業もすべてを否定する必要はない。地方への再配分機能も十分に議論すべきだ」
 「他方、維持・更新のニーズが高まる中で、真に必要な社会資本整備の在り方とは何か、あらためて整理する必要がある。今後の社会資本整備を長期的に見据えた計画づくりが重要だ。現在検討を進めている新たな社会資本整備重点計画にはわたし自身が積極的に関与し、方向を指し示していく」
 ―地方への再配分という観点からは、一括交付金化の議論があります。この点について考えを聞かせてください。
 「一括交付金化はマニフェストに明記されており、国交省はその先取りとして社会資本整備総合交付金を創設した。しかし、結果として99%が補助事業の継続になってしまった。地方にとって使い勝手が良く、地場産業への再配分機能を十分に発揮させるためには、単に一括交付金化するだけでなく、入札契約制度の見直しなどきめ細やかな対応が求められる」
 ―建設投資の縮小で疲弊する建設産業に対してどのような施策を講じていきますか。
 「これまで入札契約制度改革や下請け対策に取り組んできたが、まだまだ足りない部分があると考えている。今後も不断の改革が必要だ。これまでの取り組みの効果などを検証した上で、さらに入札契約制度などを見直していくつもりだ」
 ―建築基準法見直しの検討が進んでいます。これを含め建築法制の在り方について今後の方針を聞かせてください。
 「建築基準法の見直しをめぐってはさまざまな議論があるが、建築確認手続きの簡素化、迅速化に向けた改正をしっかり行いたい。また、野党時代から建築基本法の必要性を訴えてきたが、都市計画法など関連する法制も多いため、まずは(建築基本法制定に向けた)全体のロードマップの策定をスタートさせたい」

提供:建通新聞社